3年目の山場は、受験直前期の9月~10月の一か月間でした。
福祉資格の国家資格、社会福祉士試験受験のための現場実習が約一か月間実施されたのですが、この間は、実習と、仕事、宅建学習を両立させる必要がありました。
私は、実習に向かうための通勤時間を中心に、電車の中での移動時間を使って反復学習を繰り返しました。
時間にして30~45分ほどでしたが、何度も何度も繰り返すことで、あいまいな知識をインプットしていく作業に集中しました。
宅建学習のストレス負荷を心配していましたが、私にとっては、実習と仕事をこなしながら勉強にも着手している生活は、苦にはなりませんでした。
忙しすぎる方がかえって勉強が捗っていたようです。
時間が有限でない分、限られた時間を有効活用すべく意識が変わっていました。
そして迎えた3年目の宅建試験。
試験会場に向かう朝、2年前までとは違った感覚が芽生えていました。
今年は受かるかもしれないという自信がぬぐえなかったのです。
資格学校も、ネットのコミュニティも、受験仲間も一切つながりがなかった私だったので、客観的にどの程度自分の実力があるかどうかは測定できませんでしたが、なぜか今年は合格するのではないかという第六感のような感覚に覆われていたのです。
錯覚か確信か、それは試験問題を解いてみれば分かることでした。
試験問題は、2年目とは異なって、予想以上に苦戦しました。
2010年まではとは違って、実務に伴ったようなクセ有り問題が複数増えていました。
深読みしすぎたり、疑いすぎると、二択までは絞れるけれども、最後の最後を決められないような焦りに駆られるのです。
気が付けば50問を解き終わる頃には、試験終了時間間際でした。
一から見直す時間と余裕は残されていませんでした。
唯一の救いだったのは、3年も受け続けていることで、もはや試験というものが特別な場ではなくて、日ごろの勉強の延長として、マイペースで臨むことができたことです。
終わった・・・・・・。
試験前に芽生えていたあの自信は、己惚れだったのだろうか。
この手ごたえでは、はっきり言って35点以上も獲得できている自信はありませんでした。
今年もまたダメだったか。
2度あることは3度ある。
帰り道はすっかり意気消沈していました。
宅建試験とも早3年の付き合い。
まさかこれほど思い通りにいかない試験とは。
自分のやり方では独学合格は不可能なのかもしれない。
もう宅建試験には合格できないと見切って、今年限りでドロップアウトした方が身のためかもしれない。
完全に不合格モードに切り替わった私は、宅建3年間が走馬灯のように流れて、何とも言えない虚無感に支配されていました。
自分には宅建試験は向いていなかったんだ。
そう納得させる他、沈んだ心を制御できませんでした。
それから月日は流れて、宅建合格発表日を迎えました。
結果は、大曇天返しの合格。
この45日間は3年間の中でも最も長かった。
疑義問題の是非、没問の発生、史上初の2年連続36点・・・・・・。
平成23年度は忘れられない年となりました。
正直、目の前の合格証書を何度見ても、合格した実感はそれほどありませんでした。
でも、この3年間の軌跡が刻み込まれているようで、ようやく宅建試験から解放された安堵というものが徐々に湧いてきました。
凡人でもなんとか独学で受かることができた。
一つの結果を残せたことは、私の財産になりました。
私は、宅建合格後の2か月後に社会福祉士試験にも挑戦しましたが、合格を果たすことができました。
今も、宅建に合格したことで、それまで見えなかった新しい世界が広がっています。
一発合格を目指す方には、この体験記は物足りないかもしれませんが、独学で多年受験を志している方や、勉強が苦手だけれども、何とか合格したい方の何らかの役に立てれば嬉しいです。
願わくは、今文章をご覧になっている平成25年度受験生様の宅建合格喜びの声を楽しみしています。